自分の身は自分で守る、クスサン先生

この地球上には様々な生きものが暮らしています。そしてそのひとつひとつの種は、とてもユニークな生態をしています。

 

おはようございます!

SNAIL VISION  Nature Healing Trip

虫が大好き自然ガイド、ツムリンことトモキです♪

 

今日は地球家族のひとり、クスサンを紹介します!

クスサンはヤママユガ科の一種で、日本全土に広く分布しています。

成虫は翅を広げると10cm以上になり、蛾の中では大型の部類になります。

 

蝶や蛾をはじめ昆虫の仲間は、幼虫から成虫になる途中、〝沈黙のどんでん〟なる一定の期間を過ごします。蛹(さなぎ)です。

その間、蛹は殻に閉じこもり、移動もせず、何も食べずに、幼虫器官を退化させ、成虫器官を形成します。幼虫の姿だったからだは殻の中で一度液体になり、空を舞うための新たなからだが作られていくのです。

完全変態(メタモルフォーゼ)を遂げる様は、生命の神秘を感じざるを得ません!

 

普通、蝶や蛾の蛹は丸裸で植物などに止まっています。危険なその状態の外敵から身を守る手段は、蛹の色や形で擬態し、周りの景色に溶け込むしかないのですが、種の保存能力が高いクスサンは、セルフビルドによるカゴ状のシェルターを作り、その中で過ごします。

通称〝スカシダワラ(透かし俵)〟

指で破ろうとしても硬くて破れない。

飴状のカゴはプラスチックのような質感と肌触り。

カゴが葉っぱを纏っていた跡が残っている。

蛹の頭部がある方のカゴの端。

中からは出ることが出来るが外からは入れない構造。魚捕りのカゴ罠のようだ。

出現と淘汰を繰り返してきた自然界で、生きものが進化の過程で編み出していく、自己防衛能力や種の保存能力。生きるための本能や感覚。それらは一体どこからやってくるのでしょうか。一体、何なんでしょうか。。

 

この世界は不思議に満ちています。何かを知ろうとするだけでも生きる価値は十分にあります。

つくづくこの地球は、奇跡の星ですね^ ^

通称〝シラガタロウ(白髪太郎)〟

クスサンの幼虫から釣り糸の元祖となったテグスの原料が取れます。古来のテグスはこの幼虫の体内にある絹糸腺を酢に漬けて引っ張り出して使用していました。非常に強度があり、まるでナイロンのような糸らしいですが、あのシェルターカゴを見れば納得します。

クスサン成虫

暦は大寒を過ぎました。一年で最も寒い季節。野生の彼らもまた同じ気温を感じ、同じ空気を呼吸しています。

そんなことを想うと、少しだけ暖かくなりました♪

 

インフルエンザが猛威をふるっています。体調管理に努めましょう。野外活動から家へと帰ったら、うがい・手洗いをお忘れなく。心とからだ、健やかに^ ^