紅葉のメカニズム

季節は晩秋。各地で紅葉はピークを越え、枝に付いた〝葉〟は風に吹かれ、一枚また一枚と地面に落ち、これからゆっくりと時間をかけながら〝土〟へと姿を変えていくのです。

 

こんばんは〜

SNAIL VISION  Nature Healing Trip

歳を追う毎に紅葉の刹那に心奪われる自然ガイド、ツムリンことトモキです♪

 

本日、東京都心では初降雪を観測し、11月の雪としては54年ぶり、積雪としては統計開始の明治8年以来初になりました。

いよいよ冬の季節が始まります。

 

皆様、今年の紅葉はいかがでしたか?

春の新緑から始まった木々は、盛夏の青々とした季節を経て、秋が深まる頃に黄色や赤へと葉の色を変え、連なる山々は絵の具箱をひっくり返したような色とりどりの色彩ミックスを日替わりで魅せてくれています。

ゆっくりと確実に葉の色は変化しているので、今日の色は今日限り。明日には明日の色になっているのです。

 

「諸行無常」

 

同じように、空に浮かぶ雲もゆっくりと確実に形を変えていきます。止まない雨はなく、明けない夜がないように、万物は常に変化しています。

『〝自然界の掟〟は〝宇宙の真理〟』

わたしたちの人生にも重ねることができますね^ ^

 

【紅葉のメカニズム】

 

一般的に、一日の最低気温が8℃以下の日が続くと色づき始め、5℃以下になると一気に進行すると言われています。また、紅葉が山頂から山麓へ下がるスピードは、一日50mというデータもあります。

通常、葉が緑色に見えるのは、葉緑素(クロロフィル)が多く、光の三原色である赤、緑、青の中から、赤と青の光だけを吸収して緑の光だけが反射されるからです。

葉は、緑→黄色→赤と変化していきますが、これは葉の中に含まれる色素の違いによるものです。

緑色の色素:クロロフィル(光を吸収し、二酸化炭素+水を酸素+炭水化物に換えるためのエネルギーを供給。)

黄色の色素:カロチノイド(光からエネルギーを吸収する役割。そのエネルギーはクロロフィルに運ばれる。)

赤色の色素:アントシアニン(葉を赤色にする色素。熟したリンゴやブドウの皮の赤い色の原因となるもの。)

 

カエデやサクラなどの葉は赤く染まるのに、イチョウやポプラなどの葉は黄色に染まるのは、色づく仕組みが違います。

 

赤く染まる葉は、秋が深まり気温が低下・日が短くなると、葉の根元と枝の間に離層と呼ばれるコルクのような組織が形成されます。すると、光合成で作られた糖が枝などに届かず、日光を浴びて糖とタンパク質が化学反応し、アントシアニンという赤い色素が作られます。

対して、黄色くなる葉はカロチノイドとクロロフィルが含まれています。季節が進み気温が下がると、クロロフィルが先に分解され、分解が遅いカロチノイドの色が際立って見えるようになり、黄色く見えるようになります。

 

紅葉は、たっぷりの日を浴びて葉っぱの中の養分が多くなる程、赤くなるアントシアニン量が増え、鮮やかになると言えます。

色づき方がその年によって違ってくるのは、天気が大きく影響しています。

 

 

【落葉樹が落葉する理由】

  • 秋になり、日照時間が短くなり気温が下がるにつれて、根の水分を吸い上げる力が弱まってきます。葉の面積が広い落葉樹は水分が蒸発しやすいので、葉を落とすことで水分収支のバランスを図っています。
  • 乾燥する冬には葉の裏にある気孔から水分を奪われてしまい、生育に支障をきたすため、一度に葉を落として休眠します。
  • 落葉樹は4月から10月までの間に葉の葉緑体で光合成し、成長し、種子をつくるための養分を貯蔵しますが、秋になり、日照時間が短くなり気温が下がるにつれて、光合成能力が落ち、そのまま葉を付けていると栄養不足になり生育に支障をきたします。
  • 葉には根から吸収した不要なものや老廃物を貯める働きがあり、落葉は新陳代謝そのもの。また、排泄された葉は自分の根元にたまり、バクテリアなどに分解され、また木の養分になります。自給自足をしているのです。
  • 秋、葉の根元にオーキシンという物質が増え、葉は紅葉し、葉と枝の間に離層を形成し、養分や水分の行き来を遮断、葉を隔離します。

 

どうぞ、心ゆくまで移ろいゆく季節を眺め、味わってゆきましょう♪